『DIYで自分好みの色に塗装してみたい。でも上手くできるだろうか?』『車ぶつけちゃった。でも
自分で何とかしてみようかな?』そんな思いを抱き、それが実現出来たら嬉しいですよね。
私は自分で擦ってしまったバンパーの傷補修がキッカケで自家塗装を始めました。
『誰かがやっている事は、少なからず自分でやれるんだ!』と言う、根拠のない自信でやり始めたことで
完成した時には自己満足しています。(笑)
ちょっとした経験で素人が得たモノをまとめてみましたので、皆様のお役に立てば幸いです。
あくまでも『DIY』ですので、自己責任で実施していただく事をお願いしますが、分かりにくい事は
何なりとご質問いただければ対応いたしますので、遠慮なくご連絡ください。
『塗装=色塗り』ですが、その方法は色々ありますよね。
ペンキなどの塗料をハケや筆、ローラーなどで塗ったり、市販の缶スプレーで塗ったり、プロのように
エアーブラシを使ったり...
あえてムラや凹凸を出す外壁の『塗り壁』などもありますが、表面を平滑に綺麗に仕上げるには、均等に
噴霧して塗料をのせていく方法が一般的ではないかと思います。
何れにせよ塗る素材や大きさ、仕上がり具合などを考慮し、ご自分の技量や予算とも相談しつつ
塗装方法を選ぶのが良いかと思います。
私の経験した事しか語れないので、比較的お手軽で綺麗に仕上げが出来る『缶スプレー塗装』について
自動車ボディーの実例を元にご説明していこうと思います。
耐水ペーパーとはなんぞや?と言うところですが、 読んで字のごとく『水に耐えれる紙ヤスリ』です。
『耐水』にするメリットととして、①ヤスリの目詰まり防止、②摩擦熱をおさえる、③研削粉が飛び
散りにくい、などがあげられます。
紙ヤスリの種類は、耐水か否かにかかわらず『目の粗さ』で分けられています。
耐水ペーパーの場合、最も粗い物で80番、次に120番、240番、320番、400番、600番
800番、1000番、1200番、1500番、2000番、と言った粗さが一般的で、数字が大きく
なるにつれ目が細かくなり、研削面が滑らかになっていきます。
使い方の例として、木片やゴム片に巻き付けて力を均一にかけやすくすると、作業性が向上します。
後でご紹介しますが、専用の作業パットも販売されています。
もちろん、作業する時は『水に濡らして』から研削してください。
耐水ペーパーは、ホームセンターで購入できます。
自動車やバイクの補修で使用するなら、小さくカットされていてある程度の粗さの物がセットになった
物が入門編としてはお勧めです。
楽天市場で購入する:ソフト99 耐水サンドペーパーセット M
Amazonで購入する:SOFT99 耐水サンドペーパーセット M
その名の通り、『油分を除去するもの』です。
塗装面に油分が残っていると、塗料が乾燥しても塗膜が浮いてしまい剥がれやすくなってしまうため
必ず脱脂をしましょう。
商品名:シリコンオフと言うのも販売されていますが、油分を除去できれば良いので、極論、家庭用
洗剤でも問題ありません。
楽天市場で購入する:ソフト99 シリコンオフ
Amazonで購入する:SOFT99 シリコンオフ
塗装に必要な缶スプレーを用意します。
下地塗り塗料:プライマー・サフェーサー
通称『プラサフ』。鉄板が露出している時に使用します。
防錆効果と塗装面を整え本塗り塗料の密着性をよくするために塗布します。
本塗り塗料:カラースプレー
任意の色を用意しましょう。自動車の場合は、各メーカーの『カラーコード』を確認してください。
確認方法は、エンジンルームなどにあるプレート確認や、インターネットで検索できます。
画像の赤枠部分のように表記されていると思います。
成分の種類として、アクリル系とウレタン系のカラーがありますが、ホームセンター等に置かれている
ものは、大半がアクリル系です。
この後の上塗り塗料との兼合いもあるので、詳しい注意点は後程ご説明します。
上塗り塗料:クリアースプレー
本塗り塗料の保護、ツヤ出し効果のある塗料です。
クリアー剤にもアクリル系とウレタン系がありますが、ホームセンター等に置かれている物でお手頃な
価格の物は、アクリル系が大半です。缶に表記されている『成分』を確認してください。
アクリル系は、シンナー成分が抜けることにより硬化し、約1週間ほどで完全硬化します。
ウレタン系は、シンナー成分が抜けた後、化学反応により硬化し、完全硬化まで約1カ月ほどかかる
と見ておきましょう。
硬度はアクリル系<ウレタン系ですが、ウレタン系は重ね塗りをする事で塗膜が厚くなり硬度UPする
ので薄塗りではアクリル系と変わらなくなります。
ただし、ウレタン系の塗りすぎは割れの原因にもなるようなので、3回程度の重ね塗りで様子を見る
と良いかもしれません。
もう一つ注意する点は、もし本塗りのカラースプレーがウレタン系の物を使っていたら、その上に
アクリル系のクリアー剤はNGです。
ラッカー成分が一緒になろうとしてしまい、変なスジのようなものが走りまくりますので要注意です。
ボカシ剤
カラースプレー後やクリアー塗装後の白いザラつきを抑える効果があるものです。
腕の良い方は必要ないのかもしれませんが、あって損はないはずです。
・楽天市場で探す ・Amazonで探す
直訳すると化合物などの意ですが、塗装で使うものは『研磨剤』を意味します。
微粒子状の物質が表面を研ぎ磨きあげてくれるもので、英語では『ポリッシュ』なんて言い方をします。
平滑度合いを
耐水ペーパーよりも目の細かい状態なので、ペーパーの細かい削り溝を平滑にし、表面をツルツルに
仕上げる事が出来ます。
コンパウンドには『粗目 ~ 極細目』が『練り状』の物で用意されていて、『液状コンパウンド』と
言った物もあり、『鏡面仕上げ』なんて言われている物に使われています。
目を徐々に細かくしていくことで、表面の平滑度合いを上げていき、最後はツルツルピカピカに仕上げる
と言った感じです。
・楽天市場で探す ・Amazonで探す
塗装作業に当たり、色々なアイテムが販売されています。
ここでご紹介するものは、塗装工程の途中と仕上げ工程で使用する物です。
左から、『コンパウンド専用スポンジ』『パット一体型コンパウンドシート』『サンドペーパー用研磨
パッド』です。
コンパウンド専用スポンジ
粗さによって使い分けが必要です。
また、スポンジ部分が剥がれやすいため、使い捨ての感覚で使用するのが良いかと思います。
パット一体型コンパウンドシート
クリアー塗装後の最初の馴らしで使用するとその後の処理が楽になります。
サンドペーパー3000番相当の研磨シートです。
サンドペーパー用研磨パッド
その名の通りでサンドペーパーをパッドの溝に差込み、巻き付けて使用します。
均一の力をかけて研磨でき、作業性も上がるメリットがあります。
電動ポリッシャー
価格がピンキリですので、使用頻度や予算にあった物を選びましょう。
一方向の回転で研磨する『シングルアクション』と、往復運動で研磨する『ダブルアクション』の
2種類があり、表面を削り取るような場合は『シングル』、磨き上げる場合は『ダブル』といった
選択をするのが良さそうです。
・楽天市場で探す ・Amazonで探す
いよいよ作業手順の説明をしますが、塗装をする際の最適条件について記載しておきます。
ブログ本編でも記載していますが、気温:15 ~ 25℃、湿度:30 ~ 50% が最適目安です。
使用する溶剤などに左右されるようなので、この範囲だけには限られなさそうですが、最適範囲の
参考としていただければと思います。
また、湿度が80%を超えると『ブラッシング(白化)』と言って、塗膜表面に空気中の水分が凝縮し
乳白色に曇る現象が出てしまう場合がありますので、避けた方が良いでしょう。
本来は『塗装ブース』があると良いのですが、プライベーターはそうもいきませんので、塗装の際は
極力無風に近い日に作業しましょう。
風の強い日は、当然ホコリなどのゴミが付着しますし、近隣の方々にも迷惑が掛かります。
それに、塗料が均等に吹き付け出来ないので、ムラになってしまうためお勧めできません。
以上の事を考慮して、作業するようにしましょう。
下処理=下地処理とは、塗装する部分に塗料がのりやすくなるよう、また剥がれにくくするために表面を
ならすと言った工程です。
例えば、錆び付いた部分の上から塗装しても、腐食が進めば当然塗装が剥がれてしまいます。
またツルッツルの表面では、塗料が流れ落ちてしまう事もあるので、少し溝(キズ)を作っておく感じ
です。
320番程度の耐水ペーパーで汚れや錆を落としつつ、表面をならしていきます。
水に濡らした雑巾などで処理面を濡らしてから研削する、ペーパーその物を水に濡らしてから研削する
と言う感じで、綺麗な下地が出来上がったら完了です。
塗装部分の下地処理が済んだら、下地塗装を施します。
プラサフを塗る前に、シリコンオフなどを塗布し綺麗な布で拭き取り油分を除去しておきます。
部品単品の全塗装なら気にする必要はありませんが、ボディー補修などの場合、広範囲に塗ってしまうと
その後の処理が大変になるので、本塗装したい範囲の少し広い範囲を残しマスキングしておきましょう。
マスキングができたら、缶スプレーをよく振って試し吹きをしてから、本体に吹き付けます。
塗り方としては、塗装面~ノズルの距離を約30cm程にして一定速度でスプレーを移動させます。
なるべく一度に塗らず、だいたい3回程度の重ね塗りをして、下地が見えなくなるまで塗りましょう。
塗り終わったら、乾燥させてからマスキングを撤去します。
マスキング撤去後、しっかり乾燥させてから耐水ペーパー1000番で、プラサフ塗装した部分と
周囲の塗装との段差をならすように、プラサフ塗装の外周部分から研磨します。
この段差が残っていると、本塗装後に必ず目立ってしまいますので、指でなぞっても段差がわからない
ツルツルな状態にしておきます。
本塗装前の下地づくりとして、塗装面周辺の変色・劣化した古い塗膜を、『コンパウンド・細目』を
使って磨き落としておきましょう。
この一手間が、本塗装のノリを向上させるそうです。
任意のカラースプレーで塗装します。
塗装面より広い範囲をシリコンオフなどで脱脂をしておきます。
スプレー塗装はかなり広範囲で飛び散りますので、自動車ならウインドやミラーなど、塗料が付いて
欲しくない部分まで、しっかりマスキングしておきましょう。
かと言って、塗装面だけを残すようにしてしまうと、段差ができてしまうのでる程度の範囲は確保して
マスキングを施してください。
カラー塗装の前にボカシ剤を広い範囲にスプレーをしておくと、塗装時の白いザラつきを効果的に
抑えることができます。
ボカシ剤が乾かないうちにカラースプレーで塗装をします。
缶スプレーをよく振って、まずは試し吹きをしてから本体に吹き付けます。
塗り方は下地塗装と同じように、塗装面~ノズルの距離を約30cm程にして一定速度でスプレーを
移動させます。なるべく一度に塗らず、重ね塗りをして下地が見えなくなるまで塗りましょう。
強度や仕上げの事なども考えると、少し厚めに塗っておいたほうが良いと思います。
もし一度に厚く塗ってしまい垂れが発生した場合、数時間放置してしっかり乾かしてから耐水ペーパー
1000番以上かコンパウンドを使って段差をなくしてから全体的に塗り直します。
カラー塗料がしっかり乾いてからの作業ですが、マスキングまそのままで行います。
本塗装より広い範囲で吹き付けていきます。
塗り方は、他の工程と同じように一定スピードで光沢感が出るようにスプレーしていきます。
ただし、あまりゆっくり送ったり大量に吹き付けると垂れの原因になりますので注意してください。
3~5回程度、乾燥させては塗ると言った感じで重ね塗りをしていきましょう。
その際、白っぽくザラついた感じが出てきたら、ボカシ剤をまんべんなく吹きかけ濡れたように見える
までスプレーします。
ボカシ剤も塗りすぎるとクリアー塗料と共に垂れてしまいますので、厚塗りは禁物です。
また、ボカシ剤が乾く前にクリアー塗装をのせると同じようになってしまうので注意しましょう。
もし垂れてしまった場合は、本塗装と同じように段差をなくしてから再塗装していきます。
最終仕上げの事も考慮して、厚めに塗装しておくことをおすすめします。
クリアー塗装が完了したら、マスキングを撤去して塗装工程は完了です。
1週間程度、塗装面は何もせずしっかり乾燥させましょう。
約1週間しっかり乾燥させて、いよいよ最終仕上げに入ります。
クリアー塗装後よくお目にかかる表面状態に『ゆず肌』『みかん肌』と呼ばれる状態があります。
これが発生する原因は次の通りです。
だからと言って、失敗ではありません。
少し手間はかかりますが、耐水ペーパー1200番程度で凹凸がなくなるまで研磨します。
この凹凸が全くなくなるまで研磨すると、最終的に平面の鏡のような仕上がりになります。
あまりツルツルピカピカが好ましくない場合は、ある程度の研磨でやめておきましょう。
『ゆず肌』『みかん肌』を取り除いた後、あるいは処理の必要がない場合は、コンパウンドで仕上げ
工程に入ります。
コンパウンドシート(3000番相当)→ コンパウンド・極細 → 液体コンパウンド の順に使用し
納得できるまでピカピカに仕上げて行きます。
この時、クリアー塗装が薄いとカラー層まで達してしまうので、先のクリアー塗装の厚みがキモに
なってきます。
以上の内容は、自動車のボディー補修をベースに説明してきましたが、どんな物の塗装でも基本は
共通するものです。
取り扱う素材によっては、それぞれのノウハウがあるかもしれませんので、さらに詳しく調べる必要が
あるかもしれませんので、作業計画の段階で慎重に吟味してくださいね。
簡単にパッと見綺麗になれば良いと言う場合もあれば、丈夫に長持ちしてツルツルピカピカに仕上げたい
と言う場合もあるかと思います。
いずれにせよ、自家塗装はどこまでのクオリティーを求めるかでかける手間が変わってきます。
先急いで作業を進めると、ふりだしまで戻ることになるので、焦らず根気よく作業しましょう。
このページが、自家塗装の醍醐味である『仕上がった時の達成感と自己満足(笑)』を味わえる一助に
なれば幸いです。
参考ホームページ:動画も見れる『99工房』
自分で何とかしてみようかな?』そんな思いを抱き、それが実現出来たら嬉しいですよね。
私は自分で擦ってしまったバンパーの傷補修がキッカケで自家塗装を始めました。
『誰かがやっている事は、少なからず自分でやれるんだ!』と言う、根拠のない自信でやり始めたことで
完成した時には自己満足しています。(笑)
ちょっとした経験で素人が得たモノをまとめてみましたので、皆様のお役に立てば幸いです。
あくまでも『DIY』ですので、自己責任で実施していただく事をお願いしますが、分かりにくい事は
何なりとご質問いただければ対応いたしますので、遠慮なくご連絡ください。
1. 塗装方法の種類
『塗装=色塗り』ですが、その方法は色々ありますよね。ペンキなどの塗料をハケや筆、ローラーなどで塗ったり、市販の缶スプレーで塗ったり、プロのように
エアーブラシを使ったり...
あえてムラや凹凸を出す外壁の『塗り壁』などもありますが、表面を平滑に綺麗に仕上げるには、均等に
噴霧して塗料をのせていく方法が一般的ではないかと思います。
何れにせよ塗る素材や大きさ、仕上がり具合などを考慮し、ご自分の技量や予算とも相談しつつ
塗装方法を選ぶのが良いかと思います。
私の経験した事しか語れないので、比較的お手軽で綺麗に仕上げが出来る『缶スプレー塗装』について
自動車ボディーの実例を元にご説明していこうと思います。
2. 塗装に必要な物
塗装をするために必要なものは以下のとおりです。
- 耐水ペーパー:塗装面の処理、修正をする
- 脱脂剤:塗装面の洗浄に使用する
- スプレー類:塗装剤として使用する
- コンパウンド:仕上げに使用する
- あると便利な物:作業を楽にするアイテム
これらについて、特徴などを簡単に説明していきましょう。
2.1. 耐水ペーパー
耐水ペーパーとはなんぞや?と言うところですが、 読んで字のごとく『水に耐えれる紙ヤスリ』です。『耐水』にするメリットととして、①ヤスリの目詰まり防止、②摩擦熱をおさえる、③研削粉が飛び
散りにくい、などがあげられます。
紙ヤスリの種類は、耐水か否かにかかわらず『目の粗さ』で分けられています。
耐水ペーパーの場合、最も粗い物で80番、次に120番、240番、320番、400番、600番
800番、1000番、1200番、1500番、2000番、と言った粗さが一般的で、数字が大きく
なるにつれ目が細かくなり、研削面が滑らかになっていきます。
使い方の例として、木片やゴム片に巻き付けて力を均一にかけやすくすると、作業性が向上します。
後でご紹介しますが、専用の作業パットも販売されています。
もちろん、作業する時は『水に濡らして』から研削してください。
耐水ペーパーは、ホームセンターで購入できます。
自動車やバイクの補修で使用するなら、小さくカットされていてある程度の粗さの物がセットになった
物が入門編としてはお勧めです。
楽天市場で購入する:ソフト99 耐水サンドペーパーセット M
Amazonで購入する:SOFT99 耐水サンドペーパーセット M
2.2. 脱脂剤
その名の通り、『油分を除去するもの』です。塗装面に油分が残っていると、塗料が乾燥しても塗膜が浮いてしまい剥がれやすくなってしまうため
必ず脱脂をしましょう。
商品名:シリコンオフと言うのも販売されていますが、油分を除去できれば良いので、極論、家庭用
洗剤でも問題ありません。
楽天市場で購入する:ソフト99 シリコンオフ
Amazonで購入する:SOFT99 シリコンオフ
2.3. スプレー類
塗装に必要な缶スプレーを用意します。下地塗り塗料:プライマー・サフェーサー
通称『プラサフ』。鉄板が露出している時に使用します。
防錆効果と塗装面を整え本塗り塗料の密着性をよくするために塗布します。
本塗り塗料:カラースプレー
任意の色を用意しましょう。自動車の場合は、各メーカーの『カラーコード』を確認してください。
確認方法は、エンジンルームなどにあるプレート確認や、インターネットで検索できます。
画像の赤枠部分のように表記されていると思います。
成分の種類として、アクリル系とウレタン系のカラーがありますが、ホームセンター等に置かれている
ものは、大半がアクリル系です。
この後の上塗り塗料との兼合いもあるので、詳しい注意点は後程ご説明します。
上塗り塗料:クリアースプレー
本塗り塗料の保護、ツヤ出し効果のある塗料です。
クリアー剤にもアクリル系とウレタン系がありますが、ホームセンター等に置かれている物でお手頃な
価格の物は、アクリル系が大半です。缶に表記されている『成分』を確認してください。
アクリル系は、シンナー成分が抜けることにより硬化し、約1週間ほどで完全硬化します。
ウレタン系は、シンナー成分が抜けた後、化学反応により硬化し、完全硬化まで約1カ月ほどかかる
と見ておきましょう。
硬度はアクリル系<ウレタン系ですが、ウレタン系は重ね塗りをする事で塗膜が厚くなり硬度UPする
ので薄塗りではアクリル系と変わらなくなります。
ただし、ウレタン系の塗りすぎは割れの原因にもなるようなので、3回程度の重ね塗りで様子を見る
と良いかもしれません。
もう一つ注意する点は、もし本塗りのカラースプレーがウレタン系の物を使っていたら、その上に
アクリル系のクリアー剤はNGです。
ラッカー成分が一緒になろうとしてしまい、変なスジのようなものが走りまくりますので要注意です。
ボカシ剤
カラースプレー後やクリアー塗装後の白いザラつきを抑える効果があるものです。
腕の良い方は必要ないのかもしれませんが、あって損はないはずです。
・楽天市場で探す ・Amazonで探す
2.4. コンパウンド
直訳すると化合物などの意ですが、塗装で使うものは『研磨剤』を意味します。微粒子状の物質が表面を研ぎ磨きあげてくれるもので、英語では『ポリッシュ』なんて言い方をします。
平滑度合いを
耐水ペーパーよりも目の細かい状態なので、ペーパーの細かい削り溝を平滑にし、表面をツルツルに
仕上げる事が出来ます。
コンパウンドには『粗目 ~ 極細目』が『練り状』の物で用意されていて、『液状コンパウンド』と
言った物もあり、『鏡面仕上げ』なんて言われている物に使われています。
目を徐々に細かくしていくことで、表面の平滑度合いを上げていき、最後はツルツルピカピカに仕上げる
と言った感じです。
・楽天市場で探す ・Amazonで探す
2.5. あると便利な物
塗装作業に当たり、色々なアイテムが販売されています。ここでご紹介するものは、塗装工程の途中と仕上げ工程で使用する物です。
左から、『コンパウンド専用スポンジ』『パット一体型コンパウンドシート』『サンドペーパー用研磨
パッド』です。
コンパウンド専用スポンジ
粗さによって使い分けが必要です。
また、スポンジ部分が剥がれやすいため、使い捨ての感覚で使用するのが良いかと思います。
パット一体型コンパウンドシート
クリアー塗装後の最初の馴らしで使用するとその後の処理が楽になります。
サンドペーパー3000番相当の研磨シートです。
サンドペーパー用研磨パッド
その名の通りでサンドペーパーをパッドの溝に差込み、巻き付けて使用します。
均一の力をかけて研磨でき、作業性も上がるメリットがあります。
電動ポリッシャー
価格がピンキリですので、使用頻度や予算にあった物を選びましょう。
一方向の回転で研磨する『シングルアクション』と、往復運動で研磨する『ダブルアクション』の
2種類があり、表面を削り取るような場合は『シングル』、磨き上げる場合は『ダブル』といった
選択をするのが良さそうです。
・楽天市場で探す ・Amazonで探す
3. 作業工程
いよいよ作業手順の説明をしますが、塗装をする際の最適条件について記載しておきます。ブログ本編でも記載していますが、気温:15 ~ 25℃、湿度:30 ~ 50% が最適目安です。
使用する溶剤などに左右されるようなので、この範囲だけには限られなさそうですが、最適範囲の
参考としていただければと思います。
また、湿度が80%を超えると『ブラッシング(白化)』と言って、塗膜表面に空気中の水分が凝縮し
乳白色に曇る現象が出てしまう場合がありますので、避けた方が良いでしょう。
本来は『塗装ブース』があると良いのですが、プライベーターはそうもいきませんので、塗装の際は
極力無風に近い日に作業しましょう。
風の強い日は、当然ホコリなどのゴミが付着しますし、近隣の方々にも迷惑が掛かります。
それに、塗料が均等に吹き付け出来ないので、ムラになってしまうためお勧めできません。
以上の事を考慮して、作業するようにしましょう。
3.1. 塗装面の下処理
下処理=下地処理とは、塗装する部分に塗料がのりやすくなるよう、また剥がれにくくするために表面をならすと言った工程です。
例えば、錆び付いた部分の上から塗装しても、腐食が進めば当然塗装が剥がれてしまいます。
またツルッツルの表面では、塗料が流れ落ちてしまう事もあるので、少し溝(キズ)を作っておく感じ
です。
320番程度の耐水ペーパーで汚れや錆を落としつつ、表面をならしていきます。
水に濡らした雑巾などで処理面を濡らしてから研削する、ペーパーその物を水に濡らしてから研削する
と言う感じで、綺麗な下地が出来上がったら完了です。
3.2. 下地塗装
塗装部分の下地処理が済んだら、下地塗装を施します。プラサフを塗る前に、シリコンオフなどを塗布し綺麗な布で拭き取り油分を除去しておきます。
部品単品の全塗装なら気にする必要はありませんが、ボディー補修などの場合、広範囲に塗ってしまうと
その後の処理が大変になるので、本塗装したい範囲の少し広い範囲を残しマスキングしておきましょう。
マスキングができたら、缶スプレーをよく振って試し吹きをしてから、本体に吹き付けます。
塗り方としては、塗装面~ノズルの距離を約30cm程にして一定速度でスプレーを移動させます。
なるべく一度に塗らず、だいたい3回程度の重ね塗りをして、下地が見えなくなるまで塗りましょう。
塗り終わったら、乾燥させてからマスキングを撤去します。
マスキング撤去後、しっかり乾燥させてから耐水ペーパー1000番で、プラサフ塗装した部分と
周囲の塗装との段差をならすように、プラサフ塗装の外周部分から研磨します。
この段差が残っていると、本塗装後に必ず目立ってしまいますので、指でなぞっても段差がわからない
ツルツルな状態にしておきます。
本塗装前の下地づくりとして、塗装面周辺の変色・劣化した古い塗膜を、『コンパウンド・細目』を
使って磨き落としておきましょう。
この一手間が、本塗装のノリを向上させるそうです。
3.3. 本塗装
任意のカラースプレーで塗装します。塗装面より広い範囲をシリコンオフなどで脱脂をしておきます。
スプレー塗装はかなり広範囲で飛び散りますので、自動車ならウインドやミラーなど、塗料が付いて
欲しくない部分まで、しっかりマスキングしておきましょう。
かと言って、塗装面だけを残すようにしてしまうと、段差ができてしまうのでる程度の範囲は確保して
マスキングを施してください。
カラー塗装の前にボカシ剤を広い範囲にスプレーをしておくと、塗装時の白いザラつきを効果的に
抑えることができます。
ボカシ剤が乾かないうちにカラースプレーで塗装をします。
缶スプレーをよく振って、まずは試し吹きをしてから本体に吹き付けます。
塗り方は下地塗装と同じように、塗装面~ノズルの距離を約30cm程にして一定速度でスプレーを
移動させます。なるべく一度に塗らず、重ね塗りをして下地が見えなくなるまで塗りましょう。
強度や仕上げの事なども考えると、少し厚めに塗っておいたほうが良いと思います。
もし一度に厚く塗ってしまい垂れが発生した場合、数時間放置してしっかり乾かしてから耐水ペーパー
1000番以上かコンパウンドを使って段差をなくしてから全体的に塗り直します。
3.4. 上塗り(クリアー塗装)
カラー塗料がしっかり乾いてからの作業ですが、マスキングまそのままで行います。本塗装より広い範囲で吹き付けていきます。
塗り方は、他の工程と同じように一定スピードで光沢感が出るようにスプレーしていきます。
ただし、あまりゆっくり送ったり大量に吹き付けると垂れの原因になりますので注意してください。
3~5回程度、乾燥させては塗ると言った感じで重ね塗りをしていきましょう。
その際、白っぽくザラついた感じが出てきたら、ボカシ剤をまんべんなく吹きかけ濡れたように見える
までスプレーします。
ボカシ剤も塗りすぎるとクリアー塗料と共に垂れてしまいますので、厚塗りは禁物です。
また、ボカシ剤が乾く前にクリアー塗装をのせると同じようになってしまうので注意しましょう。
もし垂れてしまった場合は、本塗装と同じように段差をなくしてから再塗装していきます。
最終仕上げの事も考慮して、厚めに塗装しておくことをおすすめします。
クリアー塗装が完了したら、マスキングを撤去して塗装工程は完了です。
1週間程度、塗装面は何もせずしっかり乾燥させましょう。
3.5. 鏡面仕上げ(バフがけ)
約1週間しっかり乾燥させて、いよいよ最終仕上げに入ります。クリアー塗装後よくお目にかかる表面状態に『ゆず肌』『みかん肌』と呼ばれる状態があります。
これが発生する原因は次の通りです。
- 気温に合わない、乾燥の早いシンナーを使用した
- 吹付け塗料粘度が高すぎる
- スプレーの距離が離れすぎ
- スプレー運行速度が速すぎ
- 塗りこみ、塗り重ね不足
- 微粒化の悪いスプレーの使用
- 旧塗膜の研磨不足
だからと言って、失敗ではありません。
少し手間はかかりますが、耐水ペーパー1200番程度で凹凸がなくなるまで研磨します。
この凹凸が全くなくなるまで研磨すると、最終的に平面の鏡のような仕上がりになります。
あまりツルツルピカピカが好ましくない場合は、ある程度の研磨でやめておきましょう。
『ゆず肌』『みかん肌』を取り除いた後、あるいは処理の必要がない場合は、コンパウンドで仕上げ
工程に入ります。
コンパウンドシート(3000番相当)→ コンパウンド・極細 → 液体コンパウンド の順に使用し
納得できるまでピカピカに仕上げて行きます。
この時、クリアー塗装が薄いとカラー層まで達してしまうので、先のクリアー塗装の厚みがキモに
なってきます。
4. まとめ
以上の内容は、自動車のボディー補修をベースに説明してきましたが、どんな物の塗装でも基本は共通するものです。
取り扱う素材によっては、それぞれのノウハウがあるかもしれませんので、さらに詳しく調べる必要が
あるかもしれませんので、作業計画の段階で慎重に吟味してくださいね。
簡単にパッと見綺麗になれば良いと言う場合もあれば、丈夫に長持ちしてツルツルピカピカに仕上げたい
と言う場合もあるかと思います。
いずれにせよ、自家塗装はどこまでのクオリティーを求めるかでかける手間が変わってきます。
先急いで作業を進めると、ふりだしまで戻ることになるので、焦らず根気よく作業しましょう。
このページが、自家塗装の醍醐味である『仕上がった時の達成感と自己満足(笑)』を味わえる一助に
なれば幸いです。
参考ホームページ:動画も見れる『99工房』
コメント